応募対象の概要
「安全安心で人と地域と世代をつなぐ今治市クリーンセンター」を基本コンセプトとしてデザインされた、地域の憩いの場・防災拠点としての機能を有するごみ処理施設。日常時のプラント稼働や地域の人々のさまざまな活動が非常時にも役立てられ、地域を守り安心を提供する拠点として新しいランドマークとなっています。
フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント
計画段階からフェーズフリーのコンセプトで設計された施設になります。フェーズフリー化はハード・ソフトの両面で実践しており、計40項目に施されています。本施設は4年間の運営実績があり、日常のごみの安定処理に加え、豪雨災害で発生した災害ごみを処理した経験を有します。日常時は年間約20,000人が集う地域の核となっており、毎日のように市民が施設を利用しています。災害時には市の指定避難所として、2回の避難所運営実績を持つなど、まさに「いつも」と「もしも」の両方で地域に貢献する施設となっています。フェーズフリーにより、従来は敬遠されがちであったごみ処理施設が、地域に受け入れられる場へと変貌を遂げました。
カテゴリ
被害のレベル
プロブレムの種類
活用タイミング
汎用性評価
84 /100点
ハードとソフトの両面でフェーズフリーを実現していることからトータルの評価が高い。日常時においては、子どもからお年寄りまで幅広い年代を対象とすることから「Who」、スポーツ・体験型学習等のイベントや緑地による地域の憩い、コミュニケーションの場となることで「Why」が評価されている。非常時においては、災害発生時から復旧復興時までの期間で避難所として機能することから「When」、復旧復興時のごみ処理問題にも対応しており「Why」が評価されている。
有効性評価
82 /100点
日ごろから多様な価値を提供しているため「日常時QOL」、避難から復旧まで高いレベルで対応し地域の防災拠点となることから「非常時QOL」が高く評価されている。電力ピークカットなどのハード・ソフト両面にさまざまな知恵が満載されたことによる「機能面デザイン」、開かれたオープンな設計による「情緒面デザイン」、また全国のごみ処理施設建設のモデルケースになることが期待され「開発促進」が高く評価されている。
総評
一般的なごみ処理施設では、余熱利用による温水プールなどが併設され、災害時の避難所として指定されているケースも少なくない。しかし普段使わない施設での避難生活はメンタル面での負担も大きくなる。本施設は、計画段階から日常時の価値提供を積極的に盛り込むことで、建設に対する住民の理解を得やすくし、日常時から憩いの場として活用されることで非常時においても使い方が浸透することが企図されている。これにより利用者には安心した避難サービスを提供でき、普段の運営体制が、非常時の避難所運営につながる点で高いレベルのフェーズフリーを実現している。
受賞者コメント
ごみ処理施設は、施設自体の強靭さに加え、ごみを燃料とした発電ができるため、災害時に住民が安心して生活できる避難所としての期待が高まっている。今治市クリーンセンター(愛称:バリクリーン)は、全国のごみ処理施設で初めてフェーズフリーの概念を取り入れ、平常時はイベントやスポーツ、環境啓発の場として『多くの市民が集い、地域交流を活性化する場』、災害時には、あらゆる市民が安心して避難できる、『地域の指定避難所』として、地域に新たな価値を創出する施設となっている。
受賞者プロフィール
今治市株式会社タクマ