東立石保育園

応募対象の概要

下町の海抜0m地帯に建つ165名定員の保育園。日常的には、園児も保育士も保護者も安心して過ごせる「家」、施設全体で体を動かし考える力を養う「公園」、命や食への感謝を知る「学び舎」として愛されつつ、川の氾濫や浸水害、密集地での火災・震災など非常時には、地域の拠り所となる「砦」としても信頼されるRC造の建築。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

単に「非常時に防災機能の高い施設」とは異なり、普段から様々な機能が園の楽しさや近隣の暮らしに寄与する部分が大きな特長。例えば、水圧に耐える壁とスラブによるRC構造は、高さ10m以内に3層を収めつつ主要階を地上3.7mまで持ち上げて浸水に備えるだけでなく、公園側以外を閉じて中庭を囲むC型の平面と合わせて、近隣への視線制御や遮音上も有効。立面は街並のスケールに合わせ分割した上、1階道路側は敷地内にセットバックし、朝夕の駐輪や車の送迎による渋滞や事故を回避。火災時は下、水害時は上へ逃げられる複数の避難経路は、常時は行き止まりのない回遊動線として、子どもが飽きずに走り回ることが出来る遊び場となっている。
日常時 東立石保育園:日常時
公園から光や風は通しつつ保育士同士が見守りあえるC型平面で家のような安心感を、構造体や階段を遊具に活かして体を動かせる公園のような楽しさを、中を覗きやすい調理室や草花を育てられる中庭で学び舎のような発見を、建物全体で実現。近隣への騒音や視線を制御し、高さを抑え、道路際もセットバックして地域に貢献。
非常時 東立石保育園:非常時
浸水想定より70cm高い2階に保育室群や天井の高いホール、ランチルームなど避難所に転用出来る主要居室を、その環境を保つ室外機・キュービクルや防災備蓄庫、川の水位が確認できる控室を3階に配置。さらにその屋根は、園児・職員・地域住民含む300名が座ったままヘリやボートの救助を待てる、緩く広い階段となっている。