重ね梁建築(実例:徳島ヴォルティスクラブハウス)

応募対象の概要

Jリーグサッカーチームの木造クラブハウス。先行高地移転建築や徳島県応急仮設住宅など小規模な平屋から始まった重ね梁建築でははじめての2階建てで、過去最大の規模。土台、柱、壁、梁桁、2階床、屋根など、躯体のすべてが四寸角の柱材のみで構成されている。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

柱材だけで様々な建築が建てられるようになれば、製材所、市場、工務店や大工さんの倉庫などに常に大量の柱材が置いてあることになる。保管しているうちに自然に乾燥され出荷される、その循環が軌道に乗れば、これまでなかなかすすまなかった木材備蓄が現実味を帯びてくる。もしものときの仮設住宅や緊急に必要な建築のための柱材が確保されていて、剰余分が出荷されるという量に達すれば、「木材のローリングストック」という状況になる。日常時は天然乾燥された良材の産地として林業が再興していき、非常時に必要となる木材が常に準備されている。建築単体での話ではないが、大きな意味でフェイズフリーな取組みと言えるのではないか。
日常時 重ね梁建築(実例:徳島ヴォルティスクラブハウス):日常時
屋内にさらされる杉の表面積が通常の木造建築よりも大きくなり、湿度調整の能力や室内温度変化を緩やかにするなどの効果が高い。また最近では杉の効用として、人の五感に働きかけて安らぎを感じさせる、ストレスを和らげる、仕事の効率がアップする等の効果も実証され始めている。
非常時 重ね梁建築(実例:徳島ヴォルティスクラブハウス):非常時
例えば、木材買い方組合の会員は、徳島県下にまんべんなく存在する。重ね梁建築がたくさん建てられるようになって、柱材がそこここに待機していることになれば、万が一大規模災害が起きて応急仮設住宅が必要になったとき、構造材は近くに十分な量が準備されていることになる。