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応募対象の概要

本計画は兵庫県丹波市に点在する砂防ダムとその周辺空間を、日常的にも活用すべく東皐寺に近接する砂防ダムを例として敷地を選定し、建築計画したものである。周辺地域が農業地域であることから、キッチンを中心とする集いの場を設けた。水害時の避難や、土砂災害時の復旧作業の際にも機能するよう計画した。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

砂防ダムは防災に特化した非日常性の高い施設であるが、住宅地と山の境目に立地することを生かし、自然と人の空間との境目で自然を感じながら日常的に周辺住民が利用できる場所を提供する。非日常時においては砂防ダム自体の機能として土石流を防ぎながら、本建築によって復旧工事の際の作業者のためのトイレ、食事・休憩場所、整地された作業場所を提供する。また、本計画地周辺には既存の指定避難施設がないため、土砂災害以外の場面における避難場所の提供も行う。一方、日常時においてはハイキングコース、広場、キッチンといった周辺住民が気軽に利用しやすい施設を設置し普段は未活用の土地を住民のために有効利用する。
日常時 境界:日常時
本来砂防ダムは災害時にのみ認知され、日常に介入することは少ない。しかし、大自然の中でまちの盾となる砂防ダムは、最もシンボリックな場所であり、住民の集いの場としての可能性を秘めている。日常時に避難所施設がキッチンなどとして機能することで、食を通した農家住民の交流促進を目指す。
非常時 境界:非常時
災害発生時、時間経過によって施設の役割は変化する。土砂災害発生時はシェルターとなり、災害後の土砂撤去作業時には作業者の拠点となる。支援ボランティアの活動が活発になると、支援者と被災者の情報交換の場として機能し、復興時には情報発信の場として役立つ。単なる避難所ではなく、柔軟な空間利用の提供を目指す。