FUDAN-GI

応募対象の概要

災害時のための備えとして最も重要なこと、それは “日頃のストックのあり方”であると考えた。そこで、「災害時のために保管しておく」ものでも「災害が起きてから生産・供給する」ものでもない、ふだんから学校や地域で使用でき、かつ災害時にはシェルターをはじめとして多用途に活用できる木組みシステムを提案する。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

システムには「30mm×90mm」の断面をもつ木材を使用する。端部形状をロ型・凹型とし、これらを組み合わせることで工具や金物を一切使わないシンプルな接合方法で成立する。長さや端部形状が異なる部材を用いることで、ベンチや机のほか棚・屋台・間仕切りなど多様な展開が可能となる。それらを日常生活のさまざまな場面で使用することがそのまま災害時への備え(ストック)につながる仕組みである。日常的に使うことで災害時も容易に活用でき、時間や状況に応じさまざまな形に組み替えて最適な環境を作っていくことが出来る。このように、ふだんから「木」を使うことはストック問題の解決だけでなく災害時の迅速かつ臨機応変な対応も可能にする。
日常時 FUDAN-GI:日常時
ベンチや机・棚といった日常的な利用からイベント時の屋台やパーテーションなどの仮設的な使用も可能である。また2mの部材を12枚単位でパネル化して壁面に設置することで、建物の意匠を兼ねたストックもできる。このように「災害時の活用も想定しながら日常的に木を使う」ことこそ望ましいストックのあり方であると考える。
非常時 FUDAN-GI:非常時
避難所にシェルターとして設置することを想定した「基本モジュール」をベースに、布をかけたりベッドを置いたりすることでカスタマイズしていくことができる。あえて作り込みすぎず展開の余地を残すことで、避難フェーズに合わせてさまざまな形に組み替えながらその場に応じた最適な環境を作っていくことを可能にした。