CAMP in Campus for well-being

応募対象の概要

平時から大学キャンパスを周辺地域住民に開放し、夏休み・春休みや週末など授業を実施しない日(年間約160日)は、テントを張りキャンプ生活を楽しめるようにする。そのことにより、大規模災害が発生した際にも、シームレスに避難生活拠点(野外収容施設、指定屋内避難所を補完)に転換することが可能となる。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

大学キャンパスは夏休み、春休み等の長期休暇期間や週末は授業を実施しておらず、空間の有効活用の観点からタイムシェアすることが可能である。多摩地域の大学の多くは「広場型キャンパス」であり、芝生広場などでテント設営が可能であり、図書館などの施設利用も含めて新しいキャンプスタイルを楽しめる。大規模災害時には、従来の指定屋内避難所での集団で雑魚寝スタイルの避難生活に馴染まない人たちを、大学キャンパスのテント村で収容することが可能である。家族ごとにテントで生活を送る避難生活スタイルであり、感染症対策にも効果的である。
日常時 CAMP in Campus for well-being:日常時
天候の良い時に、屋外では学生達がグループワークや交流を楽しむとともに、周辺地域の幼稚園児が遠足に訪れたりしている。長期休暇期間や週末などはテントを張り、キャンプ場として利用する。キャンパス内の図書館やBBQ施設、スポーツ施設も利用できる。
非常時 CAMP in Campus for well-being:非常時
芝生広場にテント村を設営して、家族ごとに避難生活を営む。子どもたちは走り回ったり、ボール遊びしたり、自然林内のジョギングコースを散策したりして、心身両面でリラックスできる。子育て家族の他にペット同伴家族、外国人観光客など、従来の指定屋内避難所に馴染まない(入れない)人々を収容することができる。
カテゴリ
C
被害のレベル
04
プロブレムの種類
活用タイミング
汎用性評価
74 /100点
汎用性

学生の教育や研究のための場として閉ざされたイメージだった大学のキャンパスをオープンにして汎用性を高める提案。普段は学生のグループワークやコミュニケーションの場として、授業のない休日や長期休業期間を中心に、キャンプ場として利用でき、近隣住民の交流の場にもなることから、日常時の「Who」が高く評価されている。災害発生時に、キャンプで使い慣れたキャンパスを、帰宅困難者、地域住民の一時避難場所として活用できることで、非常時の「Who」、そして「Where」と「Why」の評価を高めている。

有効性評価
72 /100点
有効性

テントの設置で日常のキャンパスをより有効に活用できることが「日常時QOL」を高めている。また、普段から地域住民が利用している施設が災害時に避難所となることで「非常時QOL」が高く評価された。キャンパス内において普段活用されていなかった場所に屋外活動をしやすくする環境が無理なく提案されていることが「機能面デザイン」で評価を高めている。特別な方法や技術が必要ないことで「方法理解」の評価が高く、学生と地域住民等との接点を描くイメージが「価値共有」の評価につながった。

総評

一般的に大学のキャンパスは、学生の教育、研究のための施設であるが、広さやアクセスの良さ、休みの期間が長いことに着目することで、汎用性を高める提案につながった。周辺の地域住民にとっても、非常時に避難場所となるキャンパスを日頃から活用することは、安心につながる。キャンパス内にテントを張り、日常時は、学生のグループワークやコミュニケーションに、休みの日は、地域住民も含め、キャンプ生活を楽しめるようにすることで、大規模災害発生などの非常時にも、スムーズに避難生活の拠点に移行することができる。

受賞者コメント
従来の避難所での「雑魚寝で集団生活スタイル」には馴染まない(弾き出される)方々に、心身の負担が少なくて人間らしい避難生活拠点を提供したい、一方で広大な敷地と図書館やグランド等の多様な施設を有しながら、長期休暇期間が多く年間稼働率が約半分しかない大学キャンパスを有効活用したい。社会の課題とキャンパスの資源性を掛け合わせて提案した。平時からキャンパスでキャンプ生活を愉しむことで、被災時にもスムーズに屋外型の避難生活拠点を設営し運営することができる。
法政大学現代福祉学部 水野雅男研究室
受賞者プロフィール
法政大学現代福祉学部 水野雅男研究室