Colorful Pallet

応募対象の概要

建築物の解体によって生じた建設発生木材や木材の伐採・加工・建設の際に発生する未利用木材を、家具やインテリア、小規模な建築に活用する提案。日常・非常時問わず、その時必要なものへとモードチェンジすることで、木材資源を使い続けていくシステム。

フェーズフリーな性質の概要およびアピールポイント

同じモジュールの組み合わせによって様々なスケールにモードチェンジできるため、日常的に利用している家具を集め、非常時に間仕切りなどのインテリアや大きなシェルターにつくり替えることができる。モジュールは小さな径の木材で構成され、モジュール1つは大人一人が持ち運ぶことができる重量のサイズとし、さらに専門的な工具の要らない接合方法とすることで、人力のみでモードチェンジが可能。
日常時 Colorful Pallet:日常時
庁舎や図書館などの公共施設で、書類記載台、ベンチなどの家具の機能を持つ。使用している家具を「Colorful Pallet」による家具に置き換えることで、日常のシーンに木材の温かみを与える。また、設置場所の規模や需要に応じて家具の個数や長さ、家具の形態そのものを人力でカスタマイズすることができる。
非常時 Colorful Pallet:非常時
災害時に体育館などの避難所における間仕切りや簡易シェルターとして機能する。日常的に家具やインテリアとして使われていた「Colorful Pallet」がモードチェンジし、災害時の支援機能を持つ。運搬・施工・サイズ変更は人力で行うことができる。家具スケールとの併用も考えられ、スケールを横断した利用が可能である。
カテゴリ
D
被害のレベル
04
プロブレムの種類
活用タイミング
汎用性評価
66 /100点
汎用性

家具や小規模な空間形成など、木材のモジュールシステムによる幅広い用途への展開から、日常時の「Why」が高い評価となっている。また、運搬・施工・サイズ変更は自身で行うことができ、「Where」「When」「Who」も評価されている。非常時には、避難所での間仕切りや簡易シェルターとしての活用が可能で、「Why」に加え、その拡張性の高さから「Where」と「When」の評価も高くなっている。

有効性評価
65 /100点
有効性

スケールの変化、機能の拡張、用途の展開など、様々な可能性を秘めており、「日常時QOL」と「機能面デザイン」が高く評価された。冷たい印象を持つ公共施設の様々な家具を、温かみのある木材に置き換えることで、「情緒面デザイン」の評価が高くなる。木材の伐採・加工・建設の際に発生する未利用木材を効率的に活用する仕組みは、「開発促進」と「意識向上」につながり、ブロック玩具のようなアイデアによる発展性から「新規創生」と「価値共有」の評価も高めている。

総評

一般的なパレット型モジュールシステムは、形や構造がシンプルだが用途は限られている。Colorful Palletは、建物の解体や伐採によって発生した未利用の木材を、日常時から活用し、形を変えて非常時にも役立てるシステムである。日常時に家具やインテリアの一部として使われている木材を、非常時には、体育館などの避難所で、間仕切りや家具、簡易シェルターとして展開することができる。アイデアしだいで更に汎用性を高めることができ、有効性の向上にもつながると言える。

受賞者コメント
強度がありながら比較的軽量である木材の特性を活かし、一つのモジュールの組み合わせで家具から建築までスケールを横断してモードチェンジできるシステムをつくれないかと考えた。特殊な工具や重機を用いず人力のみでモードチェンジできることも重要と考え、アウトドア用品のロープと自在金物によるテンション材とのハイブリッドな構造システムを考案した。また、日本の伝統建築が部材を再利用してきたように、建設発生木材や未利用木材を活用することでフェーズフリーを実現するだけでなくカーボンニュートラルにも貢献できると考えた。
吉岡紘介・日本設計 建築設計群/佐々木賢太・日本設計 構造設計群
受賞者プロフィール
吉岡紘介・日本設計 建築設計群
佐々木賢太・日本設計 構造設計群